アトピー性皮膚炎の多様性

 アトピー性皮膚炎は現在でもその原因がはっきりわからない病気です。おそらく多様な原因が複雑に絡み合っていると思います。受診された医療機関によって、アレルギーを重視される場合もありますし、そうでない場合もあります。そういう意味で困惑されている方もいらっしゃると思います。

私は少なくとも1)アレルギー、2)細菌感染症、3)ストレスの3つが関連していると考えています。食物アレルギーは必ずしも食べて症状が明確にわからない時もあります。しかし、かゆみとか、アトピー性皮膚炎の悪化に関与している可能性があります。

一般にアレルギー検査は血液検査でされていますが、当クリニックではプリックテスという皮膚を使った検査でアレルゲン(アレルギーの原因)を見つけています。プリックテストの方が血液検査より正確です。しかも皮膚を軽くひっかくだけですので、血液検査のような痛みはありません。プリックテストが陽性な場合は、陽性の食物アレルゲンを必要な程度にあわせて除去すると効果的です。

細菌感染症はアトピー性皮膚炎で一般的に着目されていませんが、細菌感染症の治療は非常に有効です。当クリニックでは初診時に細菌培養(皮膚を綿棒でこするだけです)をして細菌を同定して、有効な内服の抗生剤を投与します。軽症なら外用薬で改善します。

ストレスは、日常生活の色々なストレスに加えて、アトピー性皮膚炎が改善する目安がわからないという不安もストレスになります。当クリニックでは現在の状態を理解してもらうように詳細な説明をいたします。ストレス対策として規則正しい生活も指導します。パソコンや携帯電話を長時間することや、夜更かしもストレスになります。

 そして大切なことは、家族全員がよくアトピー性皮膚炎を理解して協力することです。医師との相互の信頼関係を築いて頑張ってください。改善に要する期間は個人差がありますが、アトピー性皮膚炎は治療を続ければ改善しますので、焦らず、希望をもって治療してください。
【過去の院長ブログより】