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院長ブログ⑦マイクロプラスチックのアレルギー増強の報告

夏が終わり秋の涼しさを感じる季節となりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回のブログのテーマはマイクロプラスチックのアレルギー増強の報告についてです。

京都府立医科大学客員教授・京都大学名誉教授の高野裕久教授らの研究グループが、マイクロ(ナノ)プラスチックの経口摂取が、食物アレルギーを悪化させることを確認したとのニュースがありました。
WWF(世界自然保護基金)がニューカッスル大学に委託して行った研究によると、飲料水などを通じて人が日常生活で摂取するマイクロプラスチックの量が1週間に約5g、およそクレジットカード1枚分に相当するとの事です。

木俣先生からも、下記の様なメッセージがあります。

マイクロプラスチック(MPと略)や、更に小さいナノプラスチック(NPと略)は食物中や空気中にも存在します。私は、この事実の理解が重要だと考えます。世界には下記のような、マイクロプラスチックの検出報告があります。
皆さんもこれを機会に、ペットボトルではなく水筒を利用するなど、マイクロプラスチックを摂取しない工夫をしてみてください。

【2019年 インド】 
NPはタンパク質と反応しコロナ(冠状の状態)を形成し、毒性を増強。NPと人の血液のタンパク質と反応させて、タンパク質コロナ形成NPを作る。タンパク質コロナ形成NPは、人のリンパ球や赤血球に対し、NPより強く毒性を発揮した。

【2021年 スロバキア】
洗濯でMPに新型コロナが吸着。つまり洗濯で、多くのMPとそれに吸着した新型コロナウイルスが下水に流されています。

【2023年 中国】 
MPを人の呼気で検出報告あり。30人から、室内エアロゾルサンプルと人の呼気サンプルを測定し、MPはサンプル全てで検出された。つまり、日常生活で空気中にMPは存在し、人はそれらを呼吸している。

【2023年 セリビア】
MPの卵に対するアレルギー性の増強を検討。MPの卵のタンパク質と、タンパク質形成コロナを作り、卵アレルギー性を増強した。

【2023年 オーストラリア】
新型コロナの検査スワブ(検査器具)からMPが発生。4種類の検査スワブのMP量は、44、12、33、29でした。新型コロナで、MPがこういう形で世界に拡散した。 

【2023年 カナダ】
食事性ナノ粒子の乳タンパク質のアレルゲン性への検討。二酸化ケイ素、銀ナノ粒子はタンパク質コロナを形成し、乳アレルゲン性を増強する可能性がある。

【2024年 米国】
イルカの呼気にMPが検出された。放し飼いの11頭のイルカの呼気で、MP疑いの粒子が全てのイルカに少なくとも1つは検出された。

【2024年 中国】
マスクの影響を鼻洗浄液中のMPで測定。大学生でマスク無し、又はサージカルマスクか綿マスクを最低1日2時間はする。3日間続け、その後、鼻洗浄液中のMPを測定。

【2025年 中国】
肺炎の方の気管支肺胞洗浄液でMPが検出された。肺炎の重症度で軽症と重症に区別し、総NPを測定。総MPの量は、軽症で3.1、重症で6.0と増加した。

院長ブログ⑥ラテックス(ゴム)アレルギーの増加について

皆様9月に入りましたが、まだまだ暑さが 皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。新しい知識で脳を活性化し、夏の疲れを取りましょう。

 

  最近、ラテックス(ゴム)アレルギーの患者さんが増加しています。ラテックスアレルギーは、現在でも日本では理解不足です。ラテックス製品が溢れ、リスクは高まっていて、更に色々な食物と交差抗原性もあります。家庭は色々な職種(食物、理髪、他)でラテックス手袋の使用も増加して、情報不足が心配です。

 

世界的にも下記のような、ラテックスアレルギーの報告がありす。 
 
1994年ドイツ ラテックスアレルギーの方で、ラテックスとソバが交差反応あり。
1995年米国  食堂で食べ物を扱う従業員が、ラテックスアレルギー発症。
2002年米国  髪の接着剤を繰り返し使い、接着剤の中のラテックスでアナフィラキシーを発症。
2002年米国  家(台所)ラテックス塗料で、全身の蕁麻疹、腹痛、呼吸困難、その後失神を発症。
2005年英国  チョコレートバーの包装による、唇の腫れ、鼻汁、目の痒みあり、ラテックスアレルギー発症。
2006年日本  ボールペンのグリップで、右での親指、人差し指、中指の皮膚炎を発症。
2012年日本  つけまつ毛の接着剤のラテックス成分によるアレルギーで、瞼の紅斑(皮膚の赤み)を発症。
2015年イタリア ラテックスを含むチューインガム、おもちゃ、自転車のハンドル、歯磨き粉、化粧品で報告。
2020年米国  自転車のラテックス含有のハンドルで、指と手のひらの接触性皮膚炎を発症。
2025年英国  まつ毛のカーラーがラテックス製で、ラテックスアレルギー発症。

   ゴム手袋自体は医療、介護、衛生で有効だが、重症ではアナフィラキシーを起こす。ラテックスは交差抗原性(ラテックスだけでなく、構造が似ている他の物質にも反応してしまう現象)があり、ジャガイモ、トマト、キウイ、メロン、バナナ、ソバを食べてアレルギー発症の危険もある。食品業者が青色のラテックス手袋をし、理髪店でもその手袋を使って頭を洗う。客がラテックスアレルギーだと危険だし、理容師もアレルギーの発症するリスクもある。食堂でもホテルでもコンビニでも、衛生重視で職員が黒や青のラテックス手袋を使用しているが、危険である。便利で有効だが、少数弱者のアレルギーの方達を犠牲にしてはいけない。子供のおもちゃでもラテックス製品が多く使用され、ラテックスアレルギーリスクが高まる。哺乳瓶の乳首のラテックスでアナフィラキシーを起こした赤ちゃんや、ラテックス製のおもちゃを口に入れアナフィラキシーの子も受診した。便利さより安全を重視する社会になってほしい。