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アトピー性皮膚炎への偏見と闘い 愛の希望


私はアレルギー科の開業医で、アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)の方々を多数治療している。
アトピーは痒みが強く、痛みや不眠もあり生活の質を大きく落とす重大な疾患である。

本人は病気の為に辛く、生活も不快である。
成人の場合は痒みで仕事に集中できない。小児のアトピーの場合は家族も辛い。痒みで夜中に何回も起きる小児をケアーする為、親も夜起きて不眠になる。

それでもきちんと治療すれば、多くの成人も小児の方々がアトピーは当クリニックで治癒している。

しかし社会ではアトピーの方々に様々な偏見や誤解があるが、それが知られてないのが現実である。その為、アトピーの方々は社会からも苦しめられる。
私とアトピーの方々は協力して、偏見や誤解と闘っている。

顔のアトピーの方は、外見から社会では疎外される。
学生で面接時、顔のアトピーの為、不採用になった方もいる。
社内で働く仕事なので、顔のアトピーは問題ないのだが、面接で露骨に言われショックをうけていた。ひどい話である。

幸いにその学生は、理解のある会社に就職できた。今はアトピーは改善している。

見栄えが悪くても、治療で改善、治癒するので、そのことを理解して面接してほしい。
営業の仕事でもアトピーは一時的なものということを理解して面接してほしい。

顔以外のアトピーでも、手とか首とか見える部位にアトピーがある方も同様である。
現在はアトピーという病気だが、改善すれば健常人と同じなので、差別はやめるべきである。

仕事でも顔のアトピーが治るまで、体は元気なのに仕事を強制的に休むように会社から命じられる。

特に営業担当の方々は被害者になる。
接客なので見栄えが悪いと仕事をしてはいけない。
治るまで休むようにと命じられるが、アトピーの改善には時間がかかるので、それを待っていると数ヶ月も仕事を休まなくてはならない。

アトピーは仕事をしながら治す病気である。

また仕事をしないと、毎日休日状態で、刺激もなく生活のリズムが狂い、改善が遅れる。仕事をした方が早く改善するのである。
そういうことを会社の担当の方に説明したこともある。

アトピーの改善には、顔のアトピーの部分に特殊な布でカバーしてもらい改善を早めているが、カバーしたまま働いてもいいはずである。

例えば頭に怪我をした人は包帯を巻いて仕事をしている。骨折した人は固定をして包帯で支えて仕事をしている。仕事を休めとは命じられない。アトピーに対する偏見である。

もっとひどいのは、アトピーが他人にうつるという誤解である。
うつるので会社を休むように言われた方もいる。医学常識を持ってほしい。

アトピーがうつることはない。
学校でも同様な事がおこっている。教師がアトピーの生徒の親に、改善するまで自宅療養するように言う場合もある。

勉強には差し支えないので休む必要はないし、改善まで時間がかかるので、学校に行きながら治すのが正しい治療である。
前述した仕事の場合と同じように、学校へ行きながら治療した方が生活のリズムが崩れずに改善が早い。友人とも遊べるし、学校は学びの場であると同時に、友人と遊ぶ場でもある。

一方、学校ではアトピーということでいじめもある。その為、不登校になる児もいる。それを教師は気づいてほしい。

また本人が顔のカバーを恥ずかしがって不登校になる場合もある。
私はそういう方々の誤解を解いて、教師や親に詳細に説明し、勇気をもって登校するように励ます。実際そうして投稿し、アトピーが改善して、元気で学校生活を楽しんでいる方もいる。
だから教師はアトピーは治る病気なので一時的に外見の見栄えが悪いと説明して、アトピーの児を応援して欲しい。

また、ステロイド使用にも問題がある。ステロイドで一度少し改善したが、次第に効果がなくなり、どんどんランクの強いステロイドが処方されそれでも改善せず、当クリニックを受診した方もいる。
私はもう数十年ステロイドを使わない治療で、多くのアトピーの方々を治癒に導いている。
ステロイドをやめるとリバウンドという一過性に悪化する状態になり、見た目はかなりひどくなる。

しかし、やがてその状態は改善し、アトピーも治癒する。
だがそのリバウンドの状態を見て、小児の健康診断の場とか、保健婦の小児への訪問で、虐待と勘違いして児童相談所に連絡されたこともあった。
そして両親は一生懸命治療しているのに、虐待していないかとか、色々詰問され不愉快な思いをして、私が説明してようやく児童相談所の方が了解してくれた場合もあった。

アトピーは乳児から高齢者まで多くの方が罹患している病気である。単なる皮膚疾患ではなく、社会的な問題も含んでいる。

同じ人間で、皮膚を見て偏見や差別を持つのは残念で、時代錯誤である。
乳児から高齢者まで、アトピーの人に温かい目を向け、援助する社会になってほしい。

2020年
木俣肇先生のエッセイより