Daily Archives: 2025年7月14日

院長のブログ④~オキシトシンについて~

皆様、7月に入り本格的な夏を迎えましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
どうぞ、体調を崩さないようにお気をつけください。

 

~院長ブログより④~

オキシトシンは授乳に関わるホルモンですが、他にも色々な作用があります。
恋愛ホルモンとも言われ、恋愛中は増加します。また社会的行動とも関連し、信頼や見つめ合い、スキンシップなどで、下記のような正のループを形成します。

犬が見つめると飼主のオキシトシンが増加し、飼主も犬を見つめ犬のオキシトシンも増加します。

人と人の触れ合いが大切なことがわかる実験があります。
生後3日から6日までの赤ちゃんを、母親か父親が60分抱きます。

抱く前後で唾液のオキシトシンを測定しました。
母親が抱いた場合、母親のオキシトシンも赤ちゃんのオキシトシンも増加しました。
父親が抱いた場合、父親のオキシトシンも赤ちゃんのオキシトシンも増加しました。
母親と父親での違いはありませんでした。

 

別の実験で、母親が7~12歳の娘と関わり合って、娘の尿中オキシトシンを測定しました。

1)母親が15分間直接に娘と接触し、身体の接触と語りかけをします。
2)母親が15分間離れた所から、電話で語りかけだけをします。
3)母親が15分間娘に何もせず、娘は刺激的でない映画を観ます。

結果は、1)と2)でオキシトシンが増加しましたが、1)で増加がより顕著でした。3)では増加はありませんでした。

 

アレルギーでは肥満細胞が、ヒスタミンを放出して色々な症状を起こします。人やラットの腸管の肥満細胞は、オキシトシンの受容体を持っています。

動物実験では、オキシトシンがヒスタミンの放出を減少させ、腸の過敏性を減弱させました。
逆に言うと、オキシトシンが少ない状況ではアレルギーが強い可能性があります。

 

ADHD(注意欠如、多動症)ではオキシトシンが減少します。
アトピーにはADHDが合併しやすいことが報告されています。


昔、アトピーでADHDの男の子と母親が受診しました。
全身アトピーで、睡眠不足と食欲不振で、非常にやせていて、診察室の床に寝転び暴れました。

母親に治療を説明し、子供を抱いて見つめてよく話すことを勧めました。その子は受診の度に、診察室の床に寝転び暴れました。

 

ある時、母親がふっくらとした、物静かな男の子を連れて受診しました。肌も綺麗で、兄弟かと思いました。

なんと、ADHDもアトピーも睡眠不足も食欲不振も治癒した、本人でした。その子の唾液のオキシトシンは、治癒時は初診時の2倍に増加していました。