Daily Archives: 2025年8月29日

院長のブログ⑤皮膚の細菌培養検査について

皆様、毎日熱い日が続いておりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。健康には十分注意し、水分塩分をとって頑張って乗り切りましょう。

今回の院長ブログは、細菌培養検査についてです。ヘルペス(ウイルス)と言われた患者さんの多くがこの細菌培養検査を行います。(綿棒でこすって、皮膚に細菌がいるかどうか診る検査です。)時々、ヘルペスの検査だと勘違いしている患者さんがいますが、ヘルペス(ウイルス)と菌は全く別ものです。少し医学用語が出てきますが、詳しく説明しておりますので最後までご覧ください。

当院では、アトピーでの細菌感染症の合併も多く、症状で細菌感染症が疑わしい時には、皮膚細菌培養をしている。実はアトピーに細菌感染症が関与しているのは、医学的にエビデンス(証拠)があり、マウスの研究では黄色ブドウ球菌(下界にはどこにでもいる菌)によるアトピー発症が海外の超一流の医学雑誌に報告された。私は臨床的に初診時のアトピーでは95%以上で細菌の検出があり、多くは黄色ブドウ球菌だが、時にはMRSA(抗生剤と言うお薬が効きにくい菌)や溶連菌や緑膿菌の場合もあることを、報告した。
   こういう医学的事実があるが、社会の認識は乏しい。患者の患部での菌種が多ければ強い抗生剤が必要な場合もある。3菌種が検出された例もあり、黄色ブドウ球菌、溶連菌、緑膿菌であったが、1種類の抗生剤では全てにS(お薬がきいている感受性)ではなく、2種類を併用して全ての菌にSとして改善した。しかしこの場合も菌数が定量化でき、感受性が数値で報告されれば、もっと効果的な治療ができたであろう。
  現在の細菌培養は検査社会による定性検査(結果が「ある」か「ない」かで示される検査である。検出される菌種も1菌種が多く、時に2菌種や3菌種もあるが、簡単な結果(お薬が効いているか効いていないか)がつくだけで症状から総合的に判断するのは不十分である。臨床的によくある細菌を検出して菌数の計算をすることはまだ出来ておらず、それが商業化され検査会社で一般的に使用されれば、治療には福音となる。具体的には、アトピーで細菌感染症をよくおこす細菌を網羅して、菌数を測定してほしい。
  しかし、アトピーで皮膚の細菌培養をする意味が理解されていない。医療機関でも細菌感染症を考慮せず、皮膚の細菌培養をすることは殆ど無い。免疫抑制剤の外用(ぬり薬)に終始するのみで、結果的に細菌感染症を合併した重度アトピーでは悪化する。当院のように多く検査していると、保険機構からは再々培養についての苦情が来る。
  アトピーでの細菌感染症の重要性を理解していない為である。一時はデータを持参して保険機構に釈明にいった。これ自体、日本の医療の低レベルを表していて残念である。同じように検査会社もアトピーでの細菌培養の意味が不明で、特に大切なMRSEの検査(メチシリン耐性表皮ブドウ球菌と呼ばれ、病原性は低いが、免疫力が下がった時に感染しやすい)がされていない。しかし逆を言うと、皮膚の細菌培養が流布すれば、社会の理解もすすみ、それでアトピーの改善が早まればもっと治療にも理解がすすみ、細菌感染症の重要性がわかる。アトピーにおける細菌培養の医学的事実を、社会が理解してほしい。その為にもより良い検査体制が確立することを願う。