Daily Archives: 2026年10月20日

院長ブログ⑳アレルギーの跋扈(ばっこ)Part3

 朝夕には少しずつ秋の気配を感じるようになりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 「マコモ」に含まれる栄養素には、普段の食生活で不足しがちな食物繊維、ビタミン、ミネラル、クロロフィル(葉緑素)などがあります。葉酸がほうれん草よりも多く含まれているので、妊婦さんにもおすすめです。クリニックでは「マコモ茶」を販売しております。是非、一度お試しください。
 
さて、先月に引き続き院長ブログは「健康365」に掲載された
「アレルギーの跋扈(ばっこ)Part3」です。「跋扈」とは、「ほしいままに、勝手に振る舞うこと」や「のさばり、はびこること」を意味します。アレルギーが激増していく様子が書かれています。今、クリニックで起こっている事、先生がお考えなどを、このブログを読んで少しでもお役に立てれば幸いです。

 ③ラテックスアレルギー(ゴムのアレルギー)。Eさんは小学生で軽度のアトピーがあったが、無治療で経過をみていた。経過みていた。鼠径ヘルニアがあり、ある病院で全身麻酔にて手術をすることになり、麻酔を導入し肛門で体温を測定した。すると急に咳、喘鳴(呼吸時に「ゼーゼー」する音)呼吸困難を起こし、まだ手術前であったので、薬剤としては吸入麻酔のみで、他の薬剤は注射もしていない。症状改善の為に色々な薬を投与するも改善しない。当時私はその病院に勤務しており、すぐ呼ばれて手術室に行った。全身を観察すると肛門に体温計が挿入されており、もしやラテックスアレルギーではないかと思いそれを抜くと症状が治まった。実に投薬で治まらなかった呼吸困難が肛門の体温計を抜くだけで改善した。体温計の先端はラテックス製でそれによるラテックスアレルギーであった。後日、Eさんをプリックテストで調べると、ラテックスは強陽性だったが花粉や食物は皆陰性であった。抗アレルギー薬を継続内服しラテックスアレルギーは治癒し、その時点で鼠径ヘルニアの手術も無事施行された。

その後Eさんは転居し、会う機会がなかったし私も転勤していたが、ある日成人となったEさんが当院を受診した。私を探して他府県から来たのであった。あれから好調であったが、最近あれから好調であったが、最近アルバイトでラテックス手袋を使い、手が荒れてきたとの事。診察すると、アトピーに単純ヘルペスと細菌感染症を合併していた。抗アレルギー薬と抗ヘルペス薬と抗生剤で治癒し改善したが、その後プリックテストをするとラテックスアレルギーが再発していた。身近でよく使う製品を調べると、ラテックス手袋、イヤーホンのイヤーピース、まつ毛カラーのゴムフィラー、ヘアグルーとラテックス製品を多く使っていた。全てのラテックス製品の使用を中止し、抗アレルギー薬を継続しその後ラテックスアレルギーは治癒した。そこで受診される患者さんに問診で、ラテックス製品の使用の有無と、使用してアレルギー症状が出てないか、を確認した。そしてラテックスの検査もプリックテストに常時入れた。驚いたことに、昔は医療関係者が使っていたラテックス手袋が、レストラン、食品販売店、また食品と無関係の職種のレジでも多用されている。この一因は新型コロナでのラテックス手袋使用の習慣がそのまま継続されていることもある。しかしアトピーの方ではラテックス手袋を使用して症状の悪化する方は多い。検査すると非常に多くの方がラテックスアレルギーであった。当院ではパウダーフリーのプラスチック手袋を使うように勧めて、その使用で問題はない。しかしプラスチック手袋を扱っている店が非常に少ない。是非、プラスチック手袋を社会に流通させてほしい。尚、新型コロナ騒動でラテックス製品が多用され破棄され、その為ラテックスアレルギーが増加したという、海外からの論文は多くある。また最近は乳幼児向けのラテックス製のおもちゃも多く、生後早い時期からラテックスに接触する。成人向けではラテックス製の眼鏡もあり、ラテックス製品が社会に氾濫している。しかしラテックスアレルギーは日本では理解が少ない。 
 Fさんは全身アトピーで、生物学的製剤を注射して痒みは一時的に減少したが、その内皮膚の赤みが強くなり、全身に赤い発疹ができ、非常に痛痒い。その為不眠になった。注射をする度に悪化するので、そのことを主治医に言っても注射は続行された。また注射の時はラテックス手袋で抑えられて赤くなり痒みも強くなる。その状況で訴えても改善されない。初診時は全身の単純ヘルペスとMRSA感染症を合併していたので、その治療を先にして、改善してからプリックテストをするとラテックスが強陽性であった。生物学的製剤は感染症が悪化した場合は使用禁止と添付文書に書いてあるが、今まで受診した生物学的製剤の治療者は1人としてその添付文書のことは医師から話されていない。Fさんは全身の単純ヘルペスとMRSA感染症で、更にラテックスアレルギーもあり、その薬剤の注射を中止すべきであったが、無視された。Fさんはまたジャガイモとトマトとキウイとメロンのアレルギーも合併していた。実はラテックス・フルーツ症候群といって、ラテックスと果物や野菜は共通アレルゲンがあることが多く、アレルギーを合併しやすい。その為、これらを同時に治す必要がある。Fさんは強いリバウンドを起こし、不眠にも苦しんだが、抗アレルギー薬の他剤併用、短期睡眠薬投与、1週間に1回の入浴制限、竹素材の布でのカバーをしっかりやり、2ヶ月くらいでリバウンドが改善し、不眠もなくった。更に生活面でも早寝早起き、ラテックス製品の徹底排除を続け、半年でラテックスアレルギーも、ジャガイモとトマトとキウイとメロンのアレルギーも治癒した。

ある日の外来患者56人中、ラテックスアレルギー例は18人(32.1%)であった。その中には治癒例も6例含むので現在のラテックスアレルギー例は12人(21.4%)であった。1ヶ月の患者数から計算してもラテックスアレルギーの割合は同等である。だから単純計算で日本人では10.5%がラテックスアレルギーとなる。そう思うと、ラテックス製品が社会に溢れているのは生活としては便利かもしれないが、約1割という人数は少なくはない。いわば多数弱者のラテックスアレルギーの方を理解し、救済するべきではないかと思う。