Daily Archives: 2018年6月9日

細菌培養の重要性

 当クリニックでは細菌培養をしてアトピー性皮膚炎の患部にいる細菌を同定します。この検査は皮膚を軽くこするだけで痛みもなく簡単にできます。
アトピー性皮膚炎は細菌感染症で悪化しますので、細菌を同定するのは非常に重要です。この検査をしないと、細菌の種類がわからず効果のない抗生剤を投与することもあり、その場合は症状は改善しません。

 アトピー性皮膚炎に明らかにとびひ状態(細菌感染症が広がった状態)が合併していても、ステロイドやプロトピックによる治療がされています。ステロイドもプロトピックも免疫抑制剤ですので細菌感染症は悪化します。このことが理解されていません。内服の抗生剤が投与される場合もありますが、ステロイドやプロトピックが併用されて塗布されていますのでなかなか改善されません。

そういう状態の方々が当クリニックには多く受診されます。細菌培養をして、効果のあると思われる内服の抗生剤を投与します。すぐ投与するのは細菌培養の結果が出るのに数日かかりますので、それを待っていては状態が悪化するからです。
 更に当クリニックでのアトピー性皮膚炎の治療としての、内服の抗アレルギー薬と抗ヒスタミン剤(かゆみどめ)と、外用の消毒液と抗菌剤を使用し、患部をリント布(皮膚を保護する布)でカバーすることで改善します。

実例:色々な医療機関を受診してアトピー性皮膚炎が改善されない方が受診されました。症状からMRSA(抗生剤耐性の黄色ブドウ球菌)による感染症の合併と思い、細菌培養をしましてMRSAに効果のある内服の抗生剤を投与しました。同時に前述の当クリニックの内服と外用治療をしました。細菌培養の結果はやはりMRSAでした。そしてその後治癒されました。今まで一度も細菌培養をしていないのでMRSAとわからず、有効な治療がされていなかったわけです。

 

 実例のようにアトピー性皮膚炎が改善しない場合は細菌培養をしてください。そしてその細菌を撲滅する適切な治療をしてアトピー性皮膚炎を改善させてください。

【過去の院長ブログより】